AGAの治療費、医療費控除が適用されるか?

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結論から言うと、AGA治療にかかる受診費用と薬代は基本的には控除の対象にはなりません。しかし税務署や担当職員の判断に委ねられ、控除の対象となる場合もあり、実際に適用された例もあります。
「判断に委ねられ」というのは申請した際に受理されるか?されないか?であり、申請してみないと正直分からないのです。

AGA治療費が医療費控除の対象とならない理由

AGA治療は健康保険が適用されません。でも医療費控除が受けられるかもしれない!と聞いたら無視はできません。決して安くはないAGA治療費、出来る限り負担を減らしたいのが本音です。

では具体的に医療費控除とはどんな制度なのでしょうか。

[平成27年4月1日現在法令等]

1 医療費控除の概要

自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

2 医療費控除の対象となる医療費の要件

1. (1) 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。

2. (2) その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。

(引用) https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1120.htm

ここまではAGAでも医療費控除受けられそうじゃないの?って思うのですが・・・。しかし残念なのはここからです。

法第73条《医療費控除》関係

(健康診断及び美容整形手術のための費用)

73-4 いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする。

(引用)https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/16/01.htm

 

AGAの治療は、「容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用」つまり美容目的とされてしまい医療費控除の対象外になってしまうんです。

まだまだ病気としては認められない「薄毛・AGA」。毛髪がないと紫外線から頭皮を守れなかったり、外気の温度が低い時には体温が奪われやすかったりと、思うより多くの弊害があるのに、なかなか厳しい現実です・・・。

医療費控除の対象となったケースについて紹介!

AGA治療で薬や診察にかかったお金が医療費控除の対象になるのか、これはなったとしてもグレーゾーンであるという印象です。控除対象となるには他の治療と抱き合わせでAGA治療を行うことが多いようです。

例えば、

  • 過度のストレスが原因で脱毛症状が出て、AGA脱毛症治療した。
  • 病気が原因で脱毛し、AGA脱毛症の治療を受けた。
  • AGA脱毛症が原因でうつ病にかかってしまった。

これらのようにAGAの治療を受けるはずじゃなかったんだけど病気治療の一環として受けることになったり、薄毛が原因で精神的疾患を患い治療を受けることになったり、という場合に医療費控除の対象になる可能性があります。

しかしここでも、“税務署の職員の判断に委ねられる”ことになるので、必ずしも受けられる控除ではないことを理解しましょう。

そもそも、医療費控除とは

医療費控除とは簡単に言うと、あなた本人または生計を共にしている親族が支払った医療費(1月1日から12月31日までの期間)から税金分が返ってきますよ!というものです。

国税庁のウェブサイトでは、医療費控除の対象となる医療費について1~12項目にわたって掲載されています。

[平成27年4月1日現在法令等]

医療費控除の対象となる医療費は次のとおりであり、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。

  1. 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)
  2. 治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。

(引用)https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1122.htm

どちらにしても「医師による診察または治療の対価」ということは、医者を介せず(受診せず)自主的に個人輸入で購入した治療薬(プロペシアやジェネリックのフィンペシア等)や、医師免許を持たない、あるいは医療機関でないAGA専門サロン、育毛アドバイザーの相談料などはそもそも対象にはなりません。この辺りも理解が必要です。

医療費控除の申請してみよう、その方法

自分の場合は医療費控除の対象?それとも受けられない?こればかりは申請してみないと分かりません。それならダメ元でも申請してみた方が気持ちの整理が付くような気もします。申請方法について紹介するので、気になる方はぜひトライしてみてください!

  1. 病院で貰った薄毛治療の領収書を含め全て保管しておきます。
  2. 確定申告をする際に医療費の明細書を手書きあるいはエクセルで入力します。
    手書きはこちら( ダウンロード後印刷して記入します。)
    →http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/003.pdf
    エクセルはこちら(入力し、印刷します)
    →https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/h27_iryohi-download.htm
  3. 医療費の明細書を記入したら、確定申告書Aの記入に移ります。確定申告書を記入またはエクセルで入力し、どのくらい還付が受けられるのかを計算しましょう。

国税局の確定申告書作成コーナーから、中央の「申告書・決算書・収支内訳書等作成開始」というところをクリックすれば、自分に合った申請の仕方を分かりやすく説明してくれます!
https://www.keisan.nta.go.jp/h27/ta_top.htm#bsctrl

医療費控除を申請するとこれだけ還付される

実際に医療費控除を申請すると、どれだけ家計が助けられるのか例を元に計算してみます。

  • Aさん年収400万円
  • Bさん年収200万円

それぞれが診察及び薬の処方でAGA専門クリニック(月額平均22,500円)、一般病院(月額平均11,500円)で、1年間に合計165,000円のAGA治療や治療薬を自由診療で受けていたとします。どのくらいの還付を受けることができるのでしょうか?

年間の医療費総額 - 保険金等の収入 - 10万円(所得の5%) =  医療費控除額

まず1年間医療費でかかった費用から生命保険や損害賠償金によって受け取った保険金額を差し引きます。
更に、10万円か総所得の5%を引きます。5%というのは所得の少ない人は10万円を引くと控除できる医療費がマイナスになってしまうため、5%引くこともできますよ、というもの。そして、

医療費控除額 × 所得税率 = 還付金

算出した医療費控除額にそれぞれの所得税率を掛けで出た数字が実際の還付金になります。

Aさん、Bさんはどれくらいの還付金を受け取れるのか?保険や賠償金など何も引くものがなかったとして金額を計算します。

Aさんは年収400万なので、税率が20%です。

(医療費総額)165,000円 – (保険金などの収入)0円 – 100,000円 = (医療費控除額)65,000円
65,000×税率20% = 還付金 13,000円

Bさんは年収200万なので、税率が10%です。(項目名を省きます)

165,000円 – 0円 – 100,000円 = 65,000円
65,000×5% = 還付金 3,250円

返ってくるかどうかは申請してみないと分かりませんが、このほかにも住民税も医療費控除で安くなります。

AさんもBさんも6,500円、住民税が安くなります。

AGAの治療費、医療費控除が適用されるか?まとめ

医療費控除は通常はAGA治療には使うことができません。しかし何らかの病気が原因で抜け毛になって治療した場合や薄毛が原因になって精神的な病気を患ってしまっている場合は、保険外の診察が控除の対象になることもあります。

自分が上記の例に当てはまりそうだなーという場合は、自宅のある管轄の税務局で相談してみてください。

いつか、薄毛・AGA治療が保険適用となり医療費控除も確実に受けられるようになることを願います・・・。

  • B!