薄毛の原因になっている男性ホルモンとは

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「激しい筋肉トレーニングをする人はハゲる。」「ハゲたくないから性行為や自慰を止めている。」こんな噂を良く見かけますが、“ プロのスポーツマン=薄毛 ”かといえばそうでもないし “ 精力旺盛=ハゲ ” かといえば、やはり必ずしもそうではありません。薄毛になるかならないかは生活習慣だけではなく個人差があります。この個人差、どうやら男性ホルモンに敏感か?そうでないか?が鍵になるようです。

まずはじめに、男性ホルモンの働きを知ろう

男性ホルモンには様々な働きがあります。

男性は女性と比べて骨格が大きく筋肉量が多いですが、これは男性ホルモンのひとつ、テストステロンの影響です。体毛が太く皮脂の分泌が多いのもテストステロンの作用によるものです。

テストステロンが皮脂腺を刺激することで皮脂分泌が起こります。皮脂を毛穴からたくさん分泌すると、その通り道である毛穴が広がります。毛穴が大きくなると、そこから雑菌が体内に入りやすくなるので、それを防ぐ為に体毛が太くなります。その為、男性の体毛は太い傾向にあります。男性で体毛が薄い人は、皮脂の分泌も少ないため比較的サラサラとした肌をしていることが多いです。

その他にも精神的なやる気や自信向上、内臓脂肪増加の抑制、性欲増進などの働きもあります。

男性の男らしさは男性ホルモン、テストステロンの働きによるものなのです。

男性ホルモンが増えると薄毛になるという誤解

「激しい運動や筋力トレーニング、自慰行為、性行為は男性ホルモンを増やすから薄毛に繋がる」と聞いてそれらを禁じてしまうのは、なんとも味気ない人生になりそうです。

実際にこういった対策をしている人もいるようですが、激しい運動・筋トレ・自慰・性行為等によって増える男性ホルモンのせいで薄毛になる、というのは半分間違っています。

確かにこれらの行為で男性ホルモンは増加するのですが、それが直接薄毛の原因になることはなく、テストステロンに薄毛を引き起こす力はありません。

間接的に原因となるとすれば、タンパク質や亜鉛など、育毛に必要な栄養素の不足です。運動や筋トレ、性行為でタンパク質や亜鉛などの栄養素が消耗されます。

筋トレをする人がトレーニング後にプロテインを飲むのは、筋肉を作るためですが、もしプロテインを飲まなかったり食事で補給しないでいると、筋肉を作る為の材料が不足してしまい、思ったようなトレーニング効果は得られません。体重や運動量によって必要な量は変わりますが、運動をする人は通常の生活をする人より多くのタンパク質が(その他栄養素も含めて)必要になります。

この、筋肉をつくるタンパク質は同時に髪や頭皮を作る材料にもなっています。

また、摂取したタンパク質はそのままでは髪の毛や筋肉の材料とはならず、亜鉛によって適切な栄養へ変換されます。

つまり育毛に重要なタンパク質や亜鉛は、運動や性行為によって多く消費されるので、不足しがちになり薄毛の原因となる可能性があるということです。

脱毛ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)とは

男性ホルモンであるテストステロンは薄毛とは一切関係がないのか?

実はそうではありません。テストステロンが変化することで薄毛の大きな原因となるのです。

テストステロンは毛根で5αリダクターゼという還元酵素と結びつくことで、DHT(ジヒドロテストステロン)に変換されます。

そして、このジヒドロテストステロンが男性ホルモン受容体と結合することで脱毛シグナルが発せられます。脱毛シグナルにより、成長期だった毛髪はヘアサイクルが短縮され脱毛に追いやられます。その為、ジヒドロテストステロンは脱毛ホルモンと呼ばれています。

重要なのはジヒドロテストステロン自体ではなく、ジヒドロテストステロンがどれだけ男性ホルモン受容体と結合するか?です。この受容体の感受性(どれだけ結合するか?)は遺伝によるのですが、

そもそもテストステロンが多いとよりDHTへ変換される量は増えてしまうのでこの変換を阻害することが現在の治療法のメインとなっています。

AGA治療薬、「フィナステリド」と「ザガーロ」

テストステロンとα還元酵素が結びつくことでジヒドロテストステロンが生成される、それを阻止する手立てがAGA治療薬です。

テストステロンとα還元酵素が近寄らなければジヒドロテストステロンにはなりません。α還元酵素が近寄ってくることを阻害する薬はα還元酵素阻害薬と呼ばれています。

AGA治療薬として使用されている「フィナステリド」や「ザガーロ」が正に、α還元酵素阻害薬に分類されます。

>>フィナステリドについて、もっと詳しくはこちら(準備中)

>>ザガーロについて、もっと詳しくはこちら(準備中)

しかしこのAGA治療薬も効果には個人差があります。

5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、どちらの発生頻度が高いのかによって効果がある薬を選ぶ必要があります。一般的にはⅠ型が多い場合はⅠ型Ⅱ型阻害薬である「ザガーロ」、Ⅱ型が多い場合はⅡ型阻害薬である「フィナステリド」が処方されるようです。

また、ジヒドロテストステロンはAGAの大きな原因になっていると言われているだけで、原因の全てというわけではありません。他の要因によってAGAを発症している場合、または薄毛の原因がAGAではない場合などは、AGA治療薬による効果は期待できないという点を忘れてはいけません。

遺伝子検査の有効性

最近一般的になってきた遺伝子検査でAGAのリスクが分かります。

遺伝子検査と聞くと昔はDNA鑑定で親子なのか判定する!といったものでしたが、最近ではオーダーメイド医療やダイエット、女性のオリジナル化粧品を購入するため検査といった幅広い分野で見かけるようになりました。

検査方法も簡単で、唾液の採取だけで可能な痛みの全くない検査もあります。血液採取が苦手な人はこちらから検討してみてはどうでしょうか。

「未だAGAの兆候は見られないけど将来が心配だ。」「この薄毛の原因が知りたい。」こんな悩みをハッキリさせることができるため、不必要な薬代や診察料金をかける必要がなくなるのは嬉しいなと感じています。

薄毛の原因になっている男性ホルモンとは、まとめ

実は、運動、筋トレ、自慰、性行為による男性ホルモンの増減は、薄毛にはあまり大きな影響はないので無理な節制をする必要はないようです。

AGAの遺伝確立は70~80%程度といわれています。食事バランスや生活習慣なども大きな影響があります。また、頭皮環境を整える育毛剤にも最近では良い物が出てきています。

薄毛対策には多角的なアプローチが有効なので、無理なく生活習慣に取り入れられたらよいかと思います。

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