頭皮環境を整え、薄毛対策にもなるということで、古来から使われきた成分「馬油」。最近では育毛シャンプーにも配合されるものも増え、目にする機会も多くなっています。
そこで今一度、馬油が一体どんな成分なのか、頭皮にどんな効果があるのか等、馬油と馬油配合シャンプーについて徹底的に調査しました。
馬油とはそもそも何か?
馬油となるものは、馬の脂肪からなる組成成分を利用して作られています。
古くは中国の名僧が「馬油の効能」を伝えられたことから始まり、馬の油が人の皮膚(やけど・乾燥・あかぎれ)を修復作用があることから肌のケアに使われていました。
馬油の組成されている主要な成分がリノレン酸。人の細胞を組成する脂質にもっとも近く、肌の表面の浸透力を早める働きがあります。
普通、動物などに組成されている成分には動物性脂肪といわれる「飽和脂肪酸」の成分が多く含まれていますが、馬の油だけは不飽和脂肪酸という植物性脂肪に近い成分を多く含んでいることが分析され解明されています。
飽和脂肪酸は、常温では固まりやすい、ラード・バター・牛脂などに含まれる脂質です。
不飽和脂肪酸は、主に魚や植物(マグロ・いわし・さんま・さば・オリーブオイル・ゴマ油・シソ油等)の油に多く含まれているもので、常温では液体で存在します。
ちなみに不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と、多価不飽和脂肪酸の二種類があります。
★一価不飽和脂肪酸が多いもの
オレイン酸 | オリーブオイルに多く含まれる成分 |
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★多価不飽和脂肪酸が多いもの
リノール酸 | ひまわり油、大豆油、コーン油 |
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リノレン酸 | シソ油、ゴマ油、菜種油、くるみ |
アラキドン酸 | 豚レバー、卵黄、サワラ |
多価不飽和脂肪酸の割合が多いものは、潤いや保湿・修復効果に期待ができます。
現在、日本では馬油(読み方:バーユ・マーユ)と呼ばれて愛用者も多く人気があります。
中国の名僧から伝えられてから400年という長期間に渡り、火傷・ひび・あかぎれ・乾燥など、肌のケアや皮膚障害が起きた時にも活用されてきたことは、「保湿効果」「保護効果」「抗炎症・殺菌効果」があることが証明されています。
今では身体全体のスキンケア商品として商品化されているものが馬油になります。
馬油が頭皮環境に与える効果
馬油には乾燥性・保護性・浸透性・抗炎症性などの効果が特に優れています。また、熱にも強く肌の浸透性が他のオイル系よりも早いところが特徴です。
乾燥した頭皮、湿疹などの炎症、傷んだ毛髪を守る作用があります。
馬油が向いている人
- 頭皮ニキビが良くできる
- 炎症による赤みや湿疹がある
- 頭皮が乾燥している
- 毛髪を保護したい
頭皮トラブルが多い人には、頭皮環境を整える効果があります。
馬油が向いていない人
- 脂性肌の人
脂性肌の人は馬油の促進作用の面からみると、過剰に頭皮の皮脂を分泌させ促進する可能性があります。むしろ、さっぱり仕上がる石鹸系やアミノ酸系天然成分の方が向いているかもしれません。
馬油の具体的な使い方
馬油はオイルの伸びが大変良く浸透率が高いので、べたつきがなく、少量でケアすることが可能です。
馬油は肌のケアには万能ですので、頭皮のケアをする時も有効に働きます。
馬油で頭皮ケアをする場合
風呂上がりに使用すると効果的です。
軽くタオルドライした後、馬油を100円玉くらいの大きさで手のひらに広げます。
両手で軽くすり合わせて頭頂部から頭皮全体に広く伸ばし頭頂部に向かって側頭部から指の平で軽くマッサージをします。前頭葉・後頭部も同じように頭頂部に向かって丁寧に塗りこんでいきます。
およそ2~3分程で、ベタつきも無く、髪の毛に浸透します。
風呂上がりのスキンケアにも
お風呂あがりのお肌に馬油を使用すると、乾燥を防ぐ効果があります。
乾燥している箇所(顔・喉・腕・手・背中・足)に100円玉くらいに広げた馬油を両手で軽くすり合わせマッサージするように塗ります。馬油の伸びが良いので、とてもしっとりします。乾燥肌に塗った後、すぐに実感すると思います。(乾燥個所により馬油の量は調整してください)
馬油配合のシャンプーが良いのか、馬油のみが良いのか
馬油配合のシャンプーには、馬油以外の洗浄成分とアルコール系の成分を加える事で洗浄効果・保護・保湿・抗炎症作用を出しています。
しかし、馬油に配合されている「洗浄成分+アルコール」が原因で敏感肌の頭皮や毛髪に合わない人もいます。
馬油シャンプーには、多くの天然成分が含まれている
馬油本来の相性よりも、他に配合された天然成分によって刺激を与え、カユミ・湿疹の原因になる人もいます。
頭皮の洗髪で使用する馬油配合シャンプーでは、泡立ちが良くオイル系のシャンプーにしては洗浄力があるので汚れは良く落ちます。
しかし、乾燥肌の人が使用すると洗浄成分が強い分、洗い上がりに「頭皮のツッパリ感・髪のきしみ」を感じやすいので心配する人もいます。
天然成分には、血行を良くする、毛根に刺激を与えて発毛を促す、皮脂の分泌をよくしてターンオーバーを促す等、さまざまな効果を出すため配合されていますが、同時に頭皮に刺激を与える作用もあります。
例えば、センブリエキス・ショウガエキス・トウガラシエキス等があります。
上記の成分は頭皮が敏感な人や弱い人に良く起きる「カユミの症状から湿疹」になる原因の一つと言われています。
しかし、決して全ての人が刺激による悪影響があるものではありませんので、あまり心配しなくてもいいでしょう。
もしも、頭皮や髪の異常があればすぐに使用を中止してください。
馬油配合のシャンプーが乾燥肌の頭皮の人に合わないとされる成分
オレフィン(C14-16)スルホン酸Na・ラウリル硫酸TEA・・・洗浄力が強い界面活性剤・高級アルコール系洗浄成分
コカミドDEA(化粧品成分表示名称)・・・別名(医薬部外品表示名称)では「ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド」類似成分「ラウラミドDEA」
イソペンチルジオール・・・保湿・抗菌に用いられるアルコール成分
BG・フェノキシエタノール・パラベン・エタノール・・・防腐剤として併用され配合されることが多く刺激性があります。
馬油シャンプーが合わない人の多くは、馬油本来の保護・保湿性よりも「天然洗浄成分の配合や防腐剤」を増やしていることが、頭皮や毛髪に合わない原因になっていると思われます。
頭皮の弱い人に洗浄成分に加えて、アルコール成分の組み合わせが多いシャンプーを使用すると「カユミ・湿疹」の症状がすぐに現れてきます。
同じように馬油配合シャンプーでも、アルコール成分や洗浄成分が多すぎると「皮膚のカユミ」が出て頭皮トラブルになることがあります。
馬油配合シャンプーにも種類は豊富にあるので、天然成分や組み合わせを見極めて選択する必要があります。
※個人差はありますが、すべて「馬油配合」だからと言って頭皮や毛髪の相性は良いとは限りません。
ヘアケア的には馬油のみを使用するのがベスト
馬油には洗浄力はありませんから、馬油だけではシャンプーとして使用することはできません。しかし、肌や頭皮のヘアケアとしては「大変有効に働く力」となる成分を持っています。
乱れている肌や頭皮を馬油の有効成分で回復する力があり浸透力が早いところに特徴があります。
洗い上がりの髪の毛や頭皮の表面を保護することで潤いを与え保護力・保湿力も良くなりますので、色々な成分が配合された馬油製品と馬油のみの製品を使い比べてみれば、明らかに効果が違うのが体感できると思います。
馬油のまとめ
馬油の作用は、傷・やけど・頭皮ケアや毛髪だけではなく、全身の肌の保護・乾燥を防止する作用があり美容にも大変良いものです。
しかし、他の成分が配合された馬油シャンプーは、界面活性剤やアルコールを含んでいますので、敏感肌の人が使用すると合わない可能性もあります。
敏感肌や乾燥肌の人が馬油シャンプーを使用するときは、上記の成分などを確かめることで予防することができます。
馬油であれば「頭皮や毛髪を含めた肌の保湿や保護成分」がありますから、美容や化粧品としても活用でき、全身の肌ケアにもおすすめです。