シャンプーは頭皮の脂を綺麗サッパリ落とすことが目的ではありません。頭皮の脂には頭皮を守る役割があり、この脂を全て洗い流してしまうと頭皮環境が悪化、薄毛の原因になります。
正しいシャンプーの目的と方法を理解し、頭皮環境を良くしましょう。
シャンプーの正しい目的を理解しよう
シャンプーに含まれている成分に頭皮や髪の汚れ(整髪剤・皮脂・汗・臭い)などを洗い流す力があることは、普段のシャンプーでも実感できます。
シャンプーには汚れを落とす洗浄成分の他にも頭皮環境を整えたり、保湿したり湿疹を抑える成分が配合されていることもあり、目的によって使い分ける必要があります。
例えば、ショウガエキスやニコチン酸アミドは血流の流れを促進する作用があり、頭皮の栄養分を生き渡らせることができます。
頭皮の痒みや湿疹を抑えたい場合にはβ-グリチルレチン酸等の抗炎症成分が配合されたシャンプーを使うべきです。
その他にも傷んだ髪を修復したり、全体的なボリュームやツヤを出すなど、保護や保湿をする有効成分が多数配合されて一つのシャンプーが構成されています。
洗髪に使うものなので、洗浄成分ばかりが気になるところですが、数多くの目的をもった成分が頭皮や毛髪の環境をトータルに整えていく「調整作用」こそがシャンプーの一番の役割です。
シャンプーにはこんな役割もある
頭皮についた整髪剤などの脂や、汗の臭いをシャンプーで綺麗サッパリ洗い流すと、とても気持ちが良いもの。実はシャンプーに含まれている成分には「副交感神経 = 休息・リラックスした状態」を優位にし、ストレスを軽減するような役割もあるんです。
また、育毛目的と一言に言っても、何が薄毛の原因かによって対処法が異なります。それらを含め、頭皮や毛髪の状態・症状に合ったシャンプーを選択できれば育毛や頭皮トラブルの対策になります。
シャンプーが悪者になる場合
皮脂を取り過ぎるシャンプー(シャンプー成分)は薄毛対策をしたい人にとっては悪者です。
皮脂は頭皮を紫外線や雑菌・整髪剤などが皮膚に直接触れないように、浸透しないように膜となり守っています。しかし強すぎる洗浄力(洗浄成分)を持ったシャンプーは、頭皮を守っている「健康な皮脂」を簡単に剥がしてしまいます。
バリア機能を失った頭皮は早く健康な皮脂を取り戻そうと、新たな皮脂を過剰に分泌します。これが逆に雑菌を増やしたり、それらが刺激となって頭皮を痛める原因になります。
シャンプー剤の強すぎる洗浄成分によって、このような事態に陥りますが、シャンプー方法によっても起こる場合があります。
シャンプーでの洗髪方法を間違えてもトラブルになる?
シャンプー時、過剰に神経質になる必要はありませんが、力を入れすぎる人はそれだけ負担がかかることを忘れてはいけません。
洗髪をするときに爪をたててしまい頭皮に傷をつけてしまう
頭皮に傷を付けるとそこから雑菌が侵入、湿疹やデキモノとなり最悪の場合、化膿することがあります。
爪を立てずに指の腹で揉むように洗いましょう。
痒くて爪を立ててしまう人は乾燥が原因になっていないかチェックし、乾燥している場合は保湿を心がけることで痒みも軽減されます。
毛髪を強く揉み洗いするためキューティクルがはがれ落ちてしまう
力任せに髪を洗うとキューティクルが剥がれ落ち、ハリや潤いが無くなりパサパサになってしまいます。髪の汚れは、頭皮をシャンプー剤で洗ったあと、毛先に向かって手櫛でなぞる程度で十分落ちます。
シャンプーカスが残り「カユミや湿疹」の原因になる
シャンプー剤の残りカスは雑菌の餌となり繁殖の原因になります。雑菌は頭皮に取っては刺激となり、痒み湿疹の原因となることがあります。
シャンプー剤を洗い流す時、シャンプーの泡がなくなった後も軽く手で髪を梳くように十分な水流を当てて良くすすぎます。
シャンプー剤を使った洗髪にかけた3倍の時間をかけてすすぐのが目安です。
シャンプー時のマッサージは頭皮を痛める可能性がある
シャンプー剤を使った洗髪時にマッサージをすると良さそうですが、あまりオススメできません。シャンプー剤はあくまで洗浄成分。洗浄成分で念入りにマッサージしてしまっては、頭皮を痛める可能性があります。気持ちいい程度の力加減で洗髪の時間内で行う程度が良いです。
血行促進を目的にするのであればその後の保湿ケアや、育毛剤使用時のタイミングがベストです。
正しいシャンプー方法
適当なシャンプー方法ではシャンプー剤が残ったり、十分な洗浄ができない可能性があるため、少し長めのシャンプー方法になっています。なぜこの行程が必要なのか、内容が理解できれば時短で行っても問題ないと思います。
1.頭皮蒸らし
洗髪をする前に頭皮を蒸らします。
湯船につかり温めたタオルなどを使って頭皮を蒸らすと、汗や皮脂をシャワーのお湯だけで十分に取ることができるので、先にやっておくと洗髪がスムーズになります。(整髪剤が付いている場合、お湯だけでは取り切れない場合があります)
頭皮を蒸らし、皮脂や汚れが落ちやすくなった状態になったら洗髪を始めます。
頭皮がムズムズしてくると、毛穴が開き始めたという合図だそうです。
この行程をシャワーのみの日にするのは難しいので、シャワーの浴び始めに首をシャワーのお湯でしっかり温めることで代行します。
2.予洗い
- お湯のみで頭皮、毛髪を十分に流します。(贅沢を言うなら、3分程度)
この行程で、8~9割の汚れは取れているという意識で行います。 - 整髪料をシャンプー剤で落とします。(整髪料を使っていなければこの行程は無し)シャンプー剤1プッシュ~半プッシュ程度を手に取り水分を足して泡立てます。
- 毛髪の表面、整髪料がついてる箇所をなで、泡立てて落としていきます。この時、頭皮を洗う必要はありませんが皮脂が多い人は頭皮を洗っても問題ありません。予洗いなので「十分にシャンプー剤が足りないな」程度で大丈夫です。
- 十分にシャワーで流します。
3.本洗い
- シャンプー剤を手のひらで泡立たせます。
- さらに毛先でより泡立てから、頭皮を洗い始めます。気持ちよく揉み込むように全体的に洗います。
- シャワーの水圧が全体に行き渡るように、シャンプー剤を流します。
- 泡立ちがなくなっても、前後左右、流し残しがないように念入りに流します。
4.タオルドライの方法
- タオルで頭を包み、髪の上から軽く押さえるようにして水分を取ります。ガシガシと擦ってはダメ、摩擦で痛みます。新生毛も抜けてしまいます。
- タオルを返して濡れていないところで、さらに押さえながら水分を取ります。ちょっと湿っているかな位になるまで、タオルを替えて繰り返します。
- 毛髪の乾燥が気になる人はドライヤーで乾かす前に、オイルを軽く塗っておくと艶やかになり、ドライヤーの熱による乾燥も防げます。
- ドライヤーを頭皮から15cmほど離して乾かします。
- 頭皮や毛髪が生渇きにならないように、根本を中心にしっかり乾かします。
トリートメント・コンディショナーは必要ない
男性は女性と比べて皮脂が多い為、毎日トリートメントやコンディショナーを使う必要ありません。育毛シャンプーであれば特に、汚れの除去から頭皮毛髪のケアまで全てを完了することができます。
ただし純粋な石鹸シャンプーを使用する場合は脱脂力が強く、ギシギシと髪がきしむのでトリートメントやコンディショナーを使ったほうが良いです。※最近は軋まないリキッドタイプの石鹸シャンプーもあるようです。
もしシャンプー後に乾燥やパサツキを強く感じる場合は、洗浄力が強すぎるシャンプーを使用している可能性が高いのでシャンプー自体を見直してください。
育毛シャンプーとして売られているものの中にも、洗浄力が強いものもあるので注意が必要です。
「抜け毛が怖くてそっとシャンプーをしている」の間違い
抜け毛を恐れるあまりにそっとシャンプーをする人がいますが、気持ちはよくわかります。「これ以上抜けないで」と願いたいものです。
しかし、抜け毛は本来シャンプー時に起こるものではなく、シャンプー時に落ちているだけです。そっと洗っても、毛髪の成長サイクルによって抜ける毛の本数は変わらないので、洗髪は正しく行う方がケアとしては最適です。
シャンプー時に抜け毛がいつもより増える原因には以下の理由が考えられます。AGA以外は焦る必要はないです。
- 季節によって抜け毛が増える
- 先日髪を洗わなかったので、昨日の分も一緒に抜け落ちた
- 過度なストレスを感じている
- 抗生物質など薬の影響で抜け毛が増えた
- 美容院で髪を切った
- AGAを発症し脱毛が起こっている
季節要因の抜け毛は、換毛期がある動物だった名残とも言われていますが、夏場の紫外線や皮脂過多の影響で頭皮に疲労が溜まった為に秋に抜けるとも友言われています。これは夏の紫外線対策やケアで予防ができます。
前日に洗髪せず、髪を梳かすこともしなければ、そのまま毛根に留まっている毛が後日一気に抜け落ちます。正常な1日の抜ける本数がわかっていれば驚く必要はありません。
ストレスや薬による脱毛は一時的なもので、それば過ぎれば正常に戻ります。
若い男性で多いのが、美容院に行った日に抜け毛が多くて驚く声。梳いた場合などは払いきれていないこともあり、その毛が洗髪時に落ちただけです。
AGAの発症は問題ありです。AGAは進行性の為、放っておくとより抜け毛は止まらず、生えてこないという状態になるので薄毛が目立つようになります。
毛髪は1日に50~70本程度抜けている
正常な頭皮環境でも毛髪は毎日50~70本程度は抜けています。これは既に成長期を終え毛穴に刺さっているだけの「抜ける予定」の毛髪でこれ以上伸びることもありません。