「薄毛は隔世遺伝だ」「父親がハゲているから自分もハゲる」というような、薄毛＝遺伝の図式は何となく分かっていたけど、実は母親からの遺伝であることが多く“隔世遺伝というわけではない”ということが分かってきました。このページでは遺伝で薄毛になる仕組みについて説明します。
脱毛ホルモンDHT（ジヒドロテストステロン）って何？
「エロい人は男性ホルモンが多すぎてハゲるらしいよ～」なんて話を聞いたことがある人は多いはず。しかしこの説はかなり間違っているんです！男性ホルモン（テストステロン）が多いだけなら、もちろん精力もバッチリでハゲる原因にはならないというのが本当の話。
問題は、5α-還元酵素によってテストステロンから変化した、DHT（ジヒドロテストステロン）なんです。では、これらテストステロンとジヒドロテストステロンそれぞれの働きにはどんな違いがあるのでしょうか。
テストステロン
- 性欲が出る
- 筋肉が付きやすくなる
- 体つきが男らしくなる
- エネルギーの源になる
- 生殖器が大きくなる
- 精子の量が増える
ジヒドロテストステロン
- 体毛が濃くなる
- 抜け毛や薄毛の原因になる
- 性欲が無くなる
- 前立腺肥大になる
ジヒドロテストステロンは5α-還元酵素によって作り出され、身体の毛母細胞には育毛シグナルを発信するのに、頭部には脱毛シグナルを出すという厄介な働きをする男性ホルモンです。
インターネットにある情報の中には、“ 男性ホルモンがハゲの原因になるから運動は控えている ”とか、“ 男性ホルモンの分泌を抑えるような食べ物を食べるようにしている ”といったような間違ったものも見かけます。
抜け毛や薄毛の原因になっているのは同じ男性ホルモンでも、ジヒドロテストステロンであり、テストステロンは男性にとって必要な男性ホルモンなんですよ。
人によって違う！男性ホルモン受容体の個人差
ジヒドロテストステロンが多ければハゲるのか？というと、実はそうではありません。
ジヒドロテストステロンが同じように多くても、ハゲる人とハゲない人がいるんです。そうです、世の中フェアじゃないことだらけです。この2つの分かれ道は毛乳頭の中にあるホルモンの受容体にあります。
受容体の感受性が強いまたは敏感な人は、5α-還元酵素で変換されたジヒドロテストステロンを毛乳頭に多く取り込んでしまい、「ヘアサイクルを短く！」という脱毛シグナルを発信しやすくなります。これによって抜け毛が起こり、AGA男性型脱毛症の症状が現れるのです。
また、5α-還元酵素の量にも個人差があります。5α-還元酵素には1型と2型がありますが、AGA脱毛症と関係が強いのが2型5αリダクターゼ。もともと2型5αリダクターゼが少ない体質の人はAGAとは縁のない人生が送れます。
ジヒドロテストステロンは凄く悪いホルモン物質のように思ってしまいがちですが、悪い面だけではありません。今でこそ体毛の薄い男性が好まれるような時代ですが一昔前は体毛や立派な髭は男らしさの象徴でしたよね。
ジヒドロテストステロンはこのように、見た目を男らしく見せる他にも、テストステロンが筋肉以外の部分に吸収されるのを助ける役割もあるのです。つまり、どちらも必要な男性ホルモンということです。
薄毛の遺伝子（男性ホルモン受容体）はX染色体にある
AGA脱毛症になりにくい人は、2通りの理由があることが分かりました。
- ホルモンの受容体の感受性が強くない
- 2型5αリダクターゼが元々少ない
受容体の感受性が強い遺伝子…すなわち薄毛遺伝子というのは、X染色体からのみ遺伝します。男性はXY、女性はXXの染色体を持っており、男女の間に生まれた男の子は父方のY染色体と母方のX染色体を引き継ぎます。
薄毛遺伝子がX染色体からのみ遺伝するということは、母親が薄毛遺伝子を持っていればその遺伝子を受け継いでAGAになる確率が高いと言えます。とはいえ、母は女性で女性ホルモンを多く持っているため、薄毛の症状が出にくいのが現状です。
母親が薄毛遺伝子を持っているのか？を見極めるには、母方の祖父を確認しましょう。女性は両親両方からX染色体を受け取っているので、祖父がハゲていたらその遺伝子を受け継いでいる可能性は高くなります。
遺伝子検査でAGA（男性型脱毛症）のリスクが分かる！
母方の祖父がハゲていると、AGAになる可能性が高くなると言いました。しかし、もしかしたら祖父のハゲはAGA以外（病気や生活習慣）の原因があるかも、ということも考えられます。祖父がハゲているからと言って自分も必ずハゲると決めつけるのは確実ではありません。
真実を知りたいのであれば、AGAのクリニックで受けることができる遺伝子検査がお勧めです。AGAになるか？という“AGAリスク”を知ることができる他、自分に合った効果的な治療方法を知ることができます。
今現在AGA治療薬には2種類あって、どちらの方が効果が期待できるか？も遺伝子検査で分かります。
1つ目はフィナステリド。AGA治療薬であるプロペシアに使われている成分で、5α-還元酵素によってテストステロンがジヒドロテストステロンに変わるのを阻止してAGAが進行するのを防止します。
2つめは最近認可された、ザガーロというデュタステリドを主成分とするAGA治療薬。この新しい治療薬はプロペシアと同じような効果があり、プロペシアよりも効果が高いと注目されています。プロペシアとザガーロ、どちらの薬が効きやすい体質なのかが遺伝子検査で事前に調べることができるんです。
闇雲に治療薬を飲むという、身体的金銭的リスクを避けることができるのは嬉しいです。
ただ・・・検査や受診には費用がかかります。AGA専門のクリニックは自由診断であることが多く、診察だけで5,000円、検査費用で10,000～25,000円と高額になる傾向にあります。どうしても費用と抑えたい、またはAGAのリスクだけを知りたい、というのであれば郵送で完結できる遺伝子検査キットもあるのでこちらを検討してはいかがでしょうか。
遺伝で薄毛になるなら、もうどうしようもない？まとめ
遺伝によるAGAのリスクがあるのか？ないのか？これが分かるだけで“ どう薄毛対策をすれば良いのか ”を決めることができます。
治療が必要なのかどうなのか？はとっても重要。AGA治療はまだ毛髪が失われていないうちに、早く始める方が良いと言われています。遺伝だから仕方ないと諦めることは、ないです。