AGAとは – あなたは本当にAGAですか?-

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爆笑問題がやっているCMで有名になった「AGA」。近くのお医者さんに行けば治ると思いがちですが…意外とそう簡単でもないようです。

AGAとは?

AGA(エージーエー)とはAndrogenetic Alopeciaすなわち、男性型脱毛症の事を指します。

1000万人を超える日本人男性が薄毛に悩んでいると言われており、その原因の大半がこのAGAだと言われています。成長期を終えた20代から徐々に発症率が上がっていき、30代から40代になるとグンと上がります。

30歳以上で発症する脱毛症のため「壮年性脱毛症」とも呼ばれていました。しかし、近年では20代の男性でもAGAを発症することもあり、「若年性脱毛症」と呼ばれる場合もあります。中には10代から薄毛に悩む人が増えてきているのも事実です。

AGA(男性型脱毛症)が発症すると・・・

頭頂部から薄くなる、前頭部(おでこ)から後退していく、またはそれが同時に起こるパターンがあります。

いつもより多く抜ける、抜けるけど生えてこない。このような状態が続き、どんどん薄くなっていきます。

これには脱毛ホルモンと、毛髪のサイクルの乱れが関係しています。

脱毛ホルモンとは…

男性ホルモンであるテストステロンが変化したDHT(ジヒドロテストステロン)。これはAGAを発症する原因ホルモンだと言われています。

テストステロンは毛根にいる5αリダクターゼと結合しDHTになります。DHTは男性ホルモン受容体と結びつくことで脱毛シグナルが発せられ、脱毛が起こります。

男性ホルモンであるテストステロンそのものが抜け毛の原因になるという噂もありますが、これは間違い。テストステロン自体は直接、抜け毛の原因にはなりません。

■ テストステロン
テストステロンは男性ホルモンであり、筋肉を付けやすくしたり、性欲の維持、血液生成、メタボ予防、動脈硬化の予防という働きがあります。
■ 5aリグターゼ
5aリグターゼとは還元酵素であり、前頭から頭頂部にかけての毛乳頭にある酵素です。これがテストステロンを、より強力な男性ホルモン(DHT)に変えます。

脱毛シグナルが発せられると、毛髪のサイクルが乱れます。成長途中だった毛髪が成長を止め、退行、休止(抜ける状態)へと移行します。もっと成長するはずだった毛髪が早い段階で抜けてしまうことで全体的な毛量が減っていきます。

育毛サイクルが乱れるとは

毛髪には生まれて(生えて)から抜けるまでのサイクルがあります。

通常、髪がぐんぐん伸びる「成長期」4~6年 →→→ 成長が鈍る「退行期」2~3週間 →→→ 成長が止まり抜けやすくなる「休止期」3ヶ月の3過程があります。

人の毛髪は常時10万本あり、その10%が休止期であると言われています。休止期には毛髪は頭皮に留まっているだけなので、何かをキッカケにして抜けます。この時期に抜け落ちても新しい毛髪は作られませんが、新たに毛乳頭が活発に動き出すと、また新たな成長サイクルが始まります。

しかしAGAを発症すると、脱毛シグナルによって成長期が極端に短くなるため、脱毛が早く起こります。
脱毛してしまうと新たな毛髪も生えないため、毛髪の量が次第に少なくなっていきます。

AGAは進行性のため、一度乱れたサイクルが通常に戻ることはなく、成長期はどんどん短くなり、より薄毛が目立つようになります。

AGA治療薬「フィナステリド」

男性型脱毛症の治療で処方される薬に「フィナステリド」を主成分とした内服薬「プロペシア」があります。

これは5aリグターゼの作用を制御する働きを持っています。先述したテストステロンが5αリダクターゼによってDHTへ変化するのを抑える働きです。

元々は前立腺肥大症の患者に処方されていた治療薬ですが、治療中の患者の薄毛が改善されるという副作用があったことからAGA治療薬として開発されました。
※ 現在ではプロペシアのジェネリックも販売されいます。

フィナステリドを服用すると脱毛が起こらなくなることから画期的な治療薬ですが、後々「効かない人がいる」ということが分かってきました。

5aリグターゼにはⅠ型Ⅱ型という2種類が存在する

Ⅰ型 → 前立腺、額の生え際、頭頂に存在
Ⅱ型 → 体中の皮脂腺に存在

フィナステリドは前者、5aリグターゼⅠ型に作用するということが分かったのです。つまりAGAの原因がⅡ型だった場合、フィナステリドの効果を実感することはできません。

フィナステリドは高価であり、さらには性欲の減退や肝機能に障害をもたらすといった副作用の心配もあります。自分の抜け毛原因がAGAなのか?Ⅰ型なのか?Ⅱ型なのか?分からないうちに安易に自己判断で服用するにはリスクが高すぎます。

この症状、AGAかも?

AGAには薄毛の進行の仕方に特徴があります。まずはそれをチェックします。

  • 額の両サイドが後退し薄くなる「M字ハゲ」
  • 頭頂部分から薄くなる「O字ハゲ」
  • 額の中心から頭頂にかけてハゲる「U字ハゲ」

抜け毛・薄毛を実感するタイミングの統計も出ています。

  • シャンプー時の大量に毛が抜ける
  • 髪のセットが決まらなくなる
  • 髪が濡れた時に鏡を見ると地肌が見える
  • 家族や友人に指摘される

頭頂部は鏡でも見づらいため自覚することが少なく、人に指摘されてというパターンが多いです。毎日鏡で見える額の生え際や、濡れたときに毛量が減って見えることで違和感を覚える人が多いようです。

抜け毛のチェック法などはこちらを参考にしてください。
>>AGAによる抜け毛かも!?セルフチェック法

母親の父(自分の祖父)や母親の兄弟はハゲているか?

父親がハゲているのではなく、母方はどうなのか?が大切です。AGAの遺伝子はX染色体に位置しているので母親から受け継ぎます。(父親からはY染色体)その為、父親がハゲているかよりも母方の親族の男性を見て、ハゲている場合はその遺伝子を受け継いでいる可能性が高い、と見るべきです。母親は同じ遺伝子を持っていますが、女性ホルモンの関係で男性の様にはハゲないと言われています。

AGA以外の抜け毛、薄毛も視野に入れる

部分的に脱毛している等、ハゲ方の特徴に当てはまらない人はAGA以外の原因で抜け毛が起きている可能性もあります。また痒みや赤み、フケが異様に出るなどの症状はAGAとは関係がありません。痒みやフケと共に抜け毛の症状が現れている場合は、脂漏性皮膚炎による脂漏性脱毛症が考えられます。

参考)>>脂漏性皮膚炎による抜け毛の仕組みと対処法

また、硬化程度の大きさの部分的なハゲが1箇所、もしくは数カ所ある場合は円形脱毛症が考えられます。

参考)>>円形脱毛症、シャンプーや育毛剤で対策できるのか?

また、強いストレスで一時的に脱毛が起こるというのは実際にあります。ストレスは医者でも判断が難しいようです。この場合、自覚症状がない場合もあるので一度、自分の気持ちを見直す時間を持つ必要があります。

参考)>>薄毛の原因になるというストレス。ストレスで頭皮・毛髪に何が起こっている?

頭皮の皮膚トラブルがある場合は皮膚科で、その他の病気や症状が気になる場合は内科でなど、薄毛治療と違って保険での診療が可能なので、近くの病院に相談することが一番的確です。

これらが原因で薄毛や抜け毛の症状が出ているばあい、病気を治すことで抜け毛も治まることが多いです。

AGAかもしれないと思ったら・・・

AGA専門クリニックで検査を行い、何が原因で毛が抜けているのか?を突き止めるのが改善までの一番の近道です。

近くに専門クリニックがない、忙しくて通院できないという場合は、郵送で検査が可能な「遺伝子検査キット」があります。

>>検査キッドでAGAのリスクがないことが分かった体験談はこちら

実際にAGAであることが分かった場合、5aリグターゼⅠ型とリグターゼⅡ型の両方を阻害することのできる、ザガーロという薬も処方されるようになりました。

脱毛を阻害する治療と併せて発毛対策をすることで、毛髪が昔のようにフサフサする可能性はあります。いずれも早い処置が必要。AGAは進行性なので進行してからでは、元に戻るのにも時間がかかると言われています。

自己判断せず、専門の病院で検査をしてから今後の対策を決める。これが大切。

AGAの発症を早める原因

AGAは遺伝的な要素が強い脱毛症ですが、脱毛遺伝子を持っていても発症が早い人と遅い人がいます。これには環境因子が関係しています。環境因子とは食事などを含む外部の原因です。

  • 偏った食生活
  • ストレス
  • 生活習慣の乱れ
  • 頭皮環境の悪化
  • 飲酒や喫煙

これらの環境要因はAGAの発症を早めてしまいます。また、これらは生活習慣病の原因にもなりうるので、早めに改善して損することはありません。

AGAとは まとめ

「髪が薄くなってきた = AGA」ではありません。AGAは男性型脱毛症でありDHTが主な原因です。そのためAGA治療薬にはDHTやDHTが発信する脱毛シグナルを毛乳頭に伝える脱毛因子を抑制する働きのある成分が含まれています。

つまりそれらの脱毛因子が原因でない場合は効果がない、ということです。薬の副作用は身体的にも金銭的にもリスクがあります。AGA対策を始めるならまずは遺伝子検査などの検査をして原因を明確にしてから対策を立てましょう。

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